千円の代償



 恭一は唇をゆがめて笑って、順作の両膝の裏を両手でつかんでぐっと押し上げた。

「っ!? み、峰岸恭……っ」

 大きく両足を広げて股間を晒すような格好になって、順作が顔を真っ赤にする。
 彼の股間のものは、完全に勃起している。腹に付くぐらいに張り詰めた茎と、双球が裏返って、恭一から順作が良く見える。肛門がひくひくと物欲しげにうごめいているのを見て、自分がどうしようもなく煽られているのを自覚した。

「ほら、ここ。足。自分で持てよ」

 膝裏から押さえつけた自分の手を、順作に示す。ベッドに膝を押し付けるような体勢では、息苦しいのだろう。順作がせわしなく腹を上下させた。

「早く」

 いまだにためらいがちな順作の手をとって、自らの両足を広げさせるようにして持たせる。ふるふると勃起したものが揺れて、先走りの汁が彼の腹や胸に散った。
 恭一はベッドの脇に置いてある机の引き出しに手を伸ばして、ローションを取り出した。

「み……峰岸恭一、君……」

 順作の声はかすれて、震えていた。その声を聞きながら、恭一は、ローションをたっぷりと指にとって、ひくつく彼の肛門に塗りつけた。

「っひ……」

 びくりと彼の体が跳ねる。しかし、すぐに彼は唇を噛み締めて、耐えるように眉を寄せた。
 ──そんなに従順に振舞われたら、どうしようもない。
 恭一は、ローションを塗りこむように、指で肛門をなでた。にちゅにゅちゅ、と卑猥な音が聞こえてくる。肛門に指先が引っかかるたびに、そこはひくひくと収縮を繰り返した。

「っん、……っく……」
「マジでエロいな……。すっげえ物ほしそう……」
「そ、そんな、こと……、っひぃぁ!?」

 彼の語尾が泣きそうに歪むのを予感して、恭一はその隙をつくように中指を肛門に差し入れた。

「っあ、あ……!」

 つぷ、つぷ、と肛門に何度も浅く指を突き入れる。爪ではじくように引き抜けば、順作の痩せた体が跳ねた。

「っああ!? ひ、……も、そんな、……」

 肛門がひくつく頻度が激しくなってくる。中指をずぷりと突き立てると、そこは吸い付くように深くくわえ込んできた。間を作らずにさらに一気に人差し指と薬指をねじ込み、指を曲げて内側を強く押す。

「っあああ! あ、う、あ……! や、いやだ、っ……」
「……のわりには、スゲーけど……?」

 中をかき回すたび、いきり立った順作の怒張から、ぴゅっぴゅっと淫らな汁がこぼれ出る。感じているのは見ただけではっきりと分かる。

「気持ちいいんだろ?」
「っは、……っ、」
「ほら、ここ」

 ぐいっと遠慮なしに中の奥のほうを指で強く押す。途端に、順作が裏返った悲鳴をあげた。

「っああうう! っあ、あ、やっ、おか、おかしっ、おかしいっ……あ、ああーっ!」

 びゅる、と順作のピンク色の先から、精液が飛び出した。しぶきが胸や眼鏡のレンズを汚す。

「あ、……ああ……」

 ため息交じりの声。無意識に出されたされがやけに色っぽい。
 順作の体から力が抜けるのを感じて、恭一は自分のズボンのファスナーをおろした。下着の中で窮屈そうにしていたペニスを出す。固く勃起したそれを、彼の肛門に押し当てた。

「……っ、」

 順作がびくりと頭だけを起こした。目が合う。年上の先輩は、眉間に皺を刻んで、顔を背けた。嫌だとかやめろだとかの言葉がなかったのがたまらない気分にさせた。
 恭一は順作の細い足をつかみ、そのまま固く屹立したものをローションでほころんだそこに突きたてた。

「っぐ……」

 順作の白い体が反った。
 彼は、苦しそうに顔をしかめて、唇を噛み締める。何かにすがろうとしたのか、爪を立てる勢いで、シーツの波間をなぞり、枕を強く引きつかんだ。
 ず、ずぷ、と切っ先が埋め込まれて行く。そこが良く見えるように、順作の身体を揺らしてゆっくりと挿入する。茂みから伸びた屹立が、尻の穴に飲み込まれていく様子は、なんだかひどく卑猥だ。

「……スッゲ、マジで入ってる。アンタのケツの穴、広がってて」
「っ……、そ、そんな、こと…は、……い、言わないでくれ……」

 恥ずかしそうに、小声で訴えるのがかわいい。
 恭一は小さく笑って、さらにぐっとし腰を押し進めた。

「っい……! き、急に、そんな……!」
「だってほしそうにしてんだよ」

 ここが、と腰を揺らすようにすると、順作はたまらないように声を上げた。一度はなって力をなくしていた彼のペニスが、再び首をもたげ始めるのを見て、恭一はつい、半ばまで埋めていたペニスを一気に彼の中に押し入れてしまった。

「っああ!? あっ、あ! そんな、いきなり……、ま、待っ……ああっ!」
「悪ィ、……でも、無理……」

 きゅうきゅうと吸い付いてくるそこを感じながら、恭一は強引に腰を引いた。一息つく間もなく、すぐさま再びそこを突く。

「いっ、あ! う!」

 順作の細くて痩せた体が跳ねる。それを逃さないように、広げさせた足をしっかりとつかんで、深く深く杭を打つ。

「あっ、あっ、み、みねぎっ……」
「ん、スゲ、いい……、アンタの中、」

 熱くて。食いついてくるみたいで。深くくわえ込むみたいで。
 じゅぷ、ずぷっ、とくぐもった音をたてながら、順作の中を荒らす。角度を変えて中をえぐれば、肛門の締め付けが急にきつくなった。

「ひぃっ……、もっ、そこはっ……」
「ここ……?」
「っあああ! あっ、いっ、そ、そこは、だ、だめ、おねがっ……、やっ、」

 明らかに反応を示したそこを、遠慮なしに先で突き上げてやる。順作が身体を震わせて吠えるように悲鳴をあげた。

「ひぃぐ、あ、う、あああー! もっ、も、だ、だめ、やだ、やっ……」

 やだ、やだ、と子どものように泣きながら頭を振る。嫌だと言いながらも、立ち上がったペニスの先はすでにぬるぬるで、肛門はきゅうきゅうと恭一の太いものをくわえ込んで離そうとしない。そればかりか、物欲しそうにひくひくとひくついている。

「やだとか……、そんな感じじゃないけど……?」

 ずん、と順作の弱いところを容赦なくえぐる。

「やっ、やだ、もっ、ああーっ、あうあ……っ!」

 順作は泣きながら、舌足らずに喘ぐ。普段の彼からはかけ離れたその姿に言いようもなく興奮して、恭一はリズムも程度も考えずにただがむしゃらにそこを突き上げた。
 ぐぷっ、ずぷっ、じゅぷっ……!

「やっ、やだ、やら……! おかしくなっ……、っあ、う、あ……、ああーっ……、ああーっ……」

 ぴくぴくと身体を震わせながら、順作の勃起した先から、精液があふれ出た。
 ぴゅくっ、びゅくっと突き上げるたびに白濁したものが飛び出す。

「あ、あっ……、で、出て……、もっ、そこ、やらぁっ……! そん、なとこ……!」
「気持ちいいんだろ……?」
「っあ!?」

 腰をひねって突き上げてやると、順作はすがるようにして両足をこちらの腰に絡みつかせた。
 欲されているという感覚に、恭一はくらくらとする。もっと求めて欲しい。もっと自分しかいないと──
 恭一は覆いかぶさるようにして、順作の顔に顔を寄せた。

「なあ……、俺と、これするの好き……?」
「ぁ……、」
「これするの、気持ちい……?」
「……、ん」

 順作が小さくかすかにうなずきながら、すがり付いてくる。
 顔を見せないように、恭一の首筋に顔をうずめながら、もう一度、何度もうなずく。

「これ、……すき」
「っ……」

 想像していたよりも、ずっと生々しかった。
 恭一は自分の中で何かが焼ききれるのを感じて、唇を噛んだ。だが、もう抑えることなどできそうもなかった。抑える気もない。彼の身体を抱えるようにすると、中に埋めたそれを一度引いて、さらに深く突き入れた。

「っあ……!」
「俺も、これ、好きなんだよ……、スッゲ、好き……!」

 好き、すごく好き、とうわごとのように繰り返してしまう。何度も何度も、突き入れて深くつながって。
 恭一は限界を感じて、息を詰めた。順作の身体を強く抱き寄せると、叩きつけるようにその中に射精した。









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