青い花の夜の
会場を出たところで、アリアンの膝から力が抜けた。泣き声をあげて床にくずおれそうになる彼女の身体を、あわてて両手で支える。
「姉さん、しっかりして……」
会場を出たことで、それまで張り詰めていた気持ちが緩んでしまったのだろう。姉の膝には力が入らず、自分の力で立つこともままならないようだった。
「姉さん、立って。部屋まで頑張って」
懸命に支えようとしても、姉のほうに自立しようという気持ちがないせいで、うまくいかない。彼女を脇から支えようとしたとき、聞き慣れたベラムの声がした。
「ウェザイル様」
失礼します、というかすかな声がしたかと思うと、ベラムがアリアンを支えた。ウェザイルとベラムでアリアンを挟んで支えながら、会場入り口から離れる。
会場から離れたところで、ウェザイルはアリアンの向こう側にいるベラムを見た。
ベラムは、アリアンをひどく心配した顔で見つめ、それからウェザイルを見た。
「アリアン様のお部屋のほうは、すぐにでもお休みになれますよう、他の使用人が支度しております。ご安心ください」
「……うん」
ウェザイルは視線を落として、小さく返事した。
ベラムがいるということだけで、ひどく、とても、心強かった。それが、何となく、随分と情けないことのような気がした。
だから、ウェザイルはベラムに返事したきり、あとは沈黙した。