愛され執事とノロケ話



 逡巡の間に、ウェザイルの硬く張り詰めたものが、角度を変えてベラムの中を突いた。先ほどとは違う深さと突き上げに、悲鳴を上げる。

「ああ……ッ! う、ウェザイル、さま! ウェザイル、さまっ……」

 じゅぷっ、ぐぷっ、ずぷっ……!
 突き上げられては腰を引かれ、揺さぶられて、ばらばらになる。

 ──もういけない。もうだめだ。なにもかも。

 首根にかじりつきながら、ベラムは口走っていた。

「ウェザイルさま……っ、も、もっと、この、……このわたしの……っ」
「ベラム……!」
「ああ……! このわたし、に、ウェザイルさまの……!」

 その太いもので、散々に突いてほしい。拓いて、揺さぶってほしい──ほかの事は考えられなくなるほどに、彼でいっぱいに。彼が、この年老いた使用人のことしか考えられなくなるぐらいに、深くくわえ込んで離さない。
 ぎゅっと強く抱きつくと、ウェザイルはたまらない、というように何度もベラムの名前を呼んだ。

「ああ……、ベラム……! ベラム……! おれの、ほしい……? おれの、ほしくて、たまらない……?」
「こ、この、わたしにっ……、わたしに、もっと、ウェザイル様の、ものを、……ものをっ……」
「ああ……! なにこれ、本当、……ベラムに、ほしいって言われるの……すごく……、」

 腰を突き上げながら、ウェザイルは首筋に顔を寄せて、何度も何度もキスをする。熱いのは、吐息なのか、唾液なのか分からない。だが、どちらでも良かった。押し当てられるウェザイルの唇も、肌をくすぐる吐息も、上半身にまとったままの服が肌に擦れ合うのですら、ウェザイルに愛撫されているような錯覚をする。体中のそこかしこが、小さな刺激を拾い上げて、快感に火をくべる。

「ベラム……、おれの……名前呼んで……? ウェザイルって……、ウェザイルのがほしいって……、様なんかいらないから……、」
「っ……」

 唇を噛む。ウェザイルを呼び捨てにするなど、許されない。許されるはずがない。
 分かっているのに、ウェザイルがすがるように切ない呼吸を首筋でするから。
 心が痛くなる。つらくなる。たまらない気持ちになる。

「……、っ……」

 つかんだウェザイルの服に、皺が寄る。ためらう様子を見せれば、ウェザイルが突き上げる動きを弱めた。促すように、入り口の浅いところを小刻みに突く。

「っぁ……、ぁ……そんな、」

 そんな緩やかな突き上げでは焦らされる一方だ。緩やかに突かれて、痛いほどに張り詰めた陰茎が揺れる。

「ウェザイル、様……」
「呼んでくれたら、何でもするから」

 何でも──

 それは、この熱い中を容赦なく突いてくれるということだろうか。揺さぶって、えぐってくれるということだろうか。……この年嵩のみすぼらしい使用人の体を、愛でてくれるということなのだろうか。
 それとも、今このときばかりは、自分ほどに彼を慕っているものはいないと驕っていいということなのだろうか──

「……ベラム」
「ウェザイル様……」
「呼んでくれたら、本当に何でもするから……、ベラムが気持ちいいように、突き上げてゆっくり引いてあげる。だから、お願いだから……、」

 ああ、……本当に。どうして。これでは。
 ベラムは目を閉じて、彼を抱きしめた。彼の耳元に唇を寄せて。情けなくも小さな声で。


「!」


 ウェザイルが息を呑んだ。ベラムに頭を抱きしめられるようにされたまま、ベラムの顔を見る。言葉はなかった。すべてがもどかしい、というように、ウェザイルの手のひらがベラムの背中を支え、引き寄せた。

「っ……あ」

 浅いところで止まっていた男根が、ずぷっと入り込んだ。ごり、と音をたてんばかりに、深く、強く、ベラムの弱いところをえぐる。

「っひ……!」
「ああ……! も、すごい……我慢できない、無理……!」

 ウェザイルがうわごとのように言いながら、腰を引く。ずるり、と猛ったものがゆっくりと引き抜かれ、ベラムは喉をそらした。

「ああ……、あ……!」

 太い。
 ……先ほどよりも、太くて、熱い。

 入り口からほとんど抜けた状態から、再び、勢い良く突き上げられる。ベラムの小柄な身体は跳ね、絡みつかせた足に力がこもる。体の芯を突き抜ける快感に、つま先がぎゅうっと強く丸まった。

「あ、……やっ、……そんな、……ああ……!」
「ベラム……っ、ベラム……!」
「あっあっ……! 太、……ウェザイルさま、そんな、……太う御座いま、す……! わたしの……っ」

 入り口が裂けそうだ。引き抜かれるたびに、入り口がめくれるような痛みがある。しかし、その痛みすら、気持ちいい。確かに突かれているのだと嬉しくもなる。

「だからさ、……そういうこと、言うの、だめだって、ば……!」

 仕置きだと言うように、ことさら深く、ひねるようにねじ込まれて、ベラムは泣き叫ぶ。











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